1.加害者と被害者だけが犯罪を知っている段階
犯罪をしてしまったが、まだ警察沙汰になっていなくて、加害者と被害者だけが犯罪を知っている段階で示談が成立すると、国家(警察・検察)が犯罪として立件できない場合があります。例えば、親告罪である器物損壊罪は、示談が成立すると被害者が告訴しないので、検察官は起訴できないのです。起訴できなければ逮捕されることもありません。
また、親告罪でなくとも個人の法益が侵害された傷害罪のような犯罪の場合に、示談が成立すると検察官はほぼ起訴しません。
示談成立により将来の起訴が不相当となれば警察の捜査も開始されず、この段階での示談には、立件(警察が捜査する)回避の目的があります。
示談未了でもこの段階で自首すると、刑が「半額」になる余地があるという法律上の効果があります。
また、自首したことが被害者に伝わると被害者の怒りが収まり示談しやすくなるという事実上の効果もありえます。
示談は早ければ早いほど有効なのです。
ただ、被害者としては、加害者に対して怒りと恐怖心が存在しており、ほとんどの被害者は加害者とは接触したくないのです。そして示談は具体的場面では非常にデリケートなのです。真摯な謝罪と誠意を被害者の方に伝える示談は事実上、経験値のある弁護士の助力が必要不可欠なのです。