2.捜査段階(警察が動き出した後)

犯罪をしてしまい、警察が動き出した後でも示談は有効です。

逮捕されていない場合の示談はその後の逮捕を回避する効果をもちますし、逮捕されている場合の示談にはその後の勾留を回避する効果をもちます。

また罪種によっては起訴を回避する効果ももちます。

例えば、強制わいせつ罪事案で、逮捕前に迅速に示談できた場合、加害者は犯行を認めて示談したのであるから証拠隠滅はしない、逃亡もしないということが客観視され、警察が逮捕する必要がなくなるのです。

また、既に逮捕されていても弁護人を通じて示談が成立した場合、同じ理由で勾留が回避されます。

そして、示談により被害者の被害が事後的にであれ回復し被害者が加害者を許すことにより起訴も回避できるのです。

ただし、警察・検察は加害者本人と被害者の方との直接の示談交渉は認めません。必ず弁護士を通させます。

 

他方、冤罪によって逮捕勾留された場合には、弁護人との頻繁な接見により黙秘等の防御活動に並行して弁護人による逮捕勾留回避の意見書提出、勾留に対する準抗告等徹底抗戦するという活動もあります。

 

参考:被疑者国選弁護人と私選弁護人

被疑者国選とは、捜査段階の国選弁護人を請求することができる制度で、貧困等が要件となっています。

開始時期が早くとも逮捕後、検察官の勾留請求時(刑事訴訟法37条の2)であるので、逮捕直後から検察官の勾留請求時までの1~2日間は、国選弁護人はつかず、この段階での弁護士は当番弁護か私選弁護人だけです。

そして、無料の当番弁護は通常1回のみ接見ですから、無料のままでは勾留請求却下の意見書提出の手伝いはしないのが通常です。

勾留請求直後に被疑者国選を請求した場合、検察官の勾留請求後、裁判官の勾留決定までの間に、裁判官に対して勾留却下の意見書を提出する時間的余裕はほとんどないでしょう。

お金のかかる私選弁護人のメリットは、勾留請求前に検察官に勾留回避の意見書を提出できること、また、勾留請求後、裁判官に対して勾留請求却下の意見書が提出できることです。

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