職務質問③その1
2017/09/12
職務質問①②を遡ること2年。当時、私は中央大学4年生でした。
ある夏の午後11時過ぎ、同級生と自転車で、アパートのある世田谷区から新宿まで行くことになりました。
ルート20甲州街道を二人で並走しているとパトロール警察官に呼び止められました。
白いTシャツ白い短パン、真夜中の自転車無灯火につき、警職法2条1項の不審事由の要件を十分に充たしていました。同級生は「法学部の光源氏」と呼ばれるイケメンで不審事由はありませんでした。
警察官に「身分証明書を見せてください」と言われた私は、刑事訴訟法渥美東洋教授のゼミ員で勉強が行き届いており、不審事由の要件を充たしていると自覚したので素直に財布の中の学生証を見せました。学生証には「金建龍」という名が印字されていました。
警察官は「失礼ですけど外国人の方ですか」と学生証の写真と私の顔を見比べていました。
私は「失礼ではないですけど韓国人です」と回答しました。
私の<失礼な言葉>を無視した警察官は「外国人登録証はお持ちですか。」と予期した質問をしました。
私は「不携帯です。」と即答しました。
警察官は「ちょっと近くの交番まで来てくれますか」と拒否を許さない雰囲気で言いました。
当時の外国人登録法では外国人は外国人登録証(当時は手帳形式、後に運転免許証風のカード)を常時携帯しなければならない決まりで、法定刑は上限罰金20万円でした(後に特別永住者には10万円以下の過料に緩和されました)。
しかし、大事な物であり手帳形式であることから運転免許証のように財布等に入れることは不便で、自宅で厳重に保管している人が大多数でした。
私は、まあ大したことにはならないだろうと警察官の同行申し出に対し「はい。」と返答し、同級生も一緒に交番に同行してくれました。
交番に着くと警察官がどこかに電話をかけ、「連れて行く?」とか何かあやしいやりとりをし始めました。
私は(おいおい、まさか警察署まで連れて行く気か。まだ環八越えた所じゃねーか。新宿まで行けないジャン。やってられねーよ)と東京弁で考えていました。
※その2につづく。