ひき逃げ
① 定義
交通事故を起こした運転手・乗務員等が負傷者の救護をしない、事故現場の危険状態を放置することをいい、文字通り逃げることではありません。
② 法定刑
5年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
運転手が原因を作って逃げた場合は10年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金。
③ 弁護方針
事故に関する示談だけでなく逃げたことも示談の内容に含める必要があります。
④ 特徴
ひき逃げには通常、過失運転致死傷も伴うので併せた法定刑は格段に重くなります。
過失運転致傷と救護義務違反の併合罪の法定刑は、15年以下の懲役又は200万円以下の罰金となります。
⑤ 解決事例
深夜自動車走行中、人を跳ねて逃げたら、被害者は死亡した。逮捕勾留→弁護士が頻繁に接見し、被疑者の父親に遺族宅に2度謝罪に行かせた。→被害者の飛び出し故、過失運転致死は不起訴、ひき逃げのみで起訴。→被告人が酒を飲めないことを立証し、逃げたのは単に怖くなっただけであることを強調して、執行猶予判決。
勾留中、勤務していた会社から懲戒解雇され退職金の支給はしないという通知が来た。→執行猶予判決後、会社に対して労働審判を申し立てる。→退職金500万円を獲得。
⑥ 法規
道路交通法
第七十二条 交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転手その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならないこの場合において、当該車両等の運転者は、(略)警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
第百十七条 車両等の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があった場合において、第七十二条第一項の規定に違反したときは、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の場合において、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、十年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。