強制わいせつ罪

強制わいせつ罪で家族が逮捕された。今後どうなるのか?。

早期身柄解放のノウハウ・実績があります。

 

① 定義

強制わいせつ罪とは、暴行又は脅迫を手段として13歳以上の男女にわいせつ行為をする犯罪です。13歳未満の男女に対しては暴行脅迫を手段にしなくともわいせつ行為をしただけで成立します(13歳未満の男女とは合意があってもエッチなことをしてはいけないということです)。


② 法定刑

6ヶ月~10年以下の懲役

強制わいせつ行為の際に被害者にケガさせたり死亡させた場合は、強制わいせつ致傷罪となり、無期懲役又は3年~20年の懲役となります。

故意に殺した場合は、殺人罪(死刑又は無期懲役若しくは20年~5年の懲役)との併合罪となります。


③ 弁護方針

<犯行を行ってしまった場合>

捜査前:被害者の方と顔見知りで被害者が示談を望む場合は、弁護士が示談の交渉を行う必要があります。この場合、被害者の方は加害者とは会いたくないはずであり、被害者の方から見て弁護士でないと安心して交渉ができない傾向があるのです。

この段階では自首も検討します。被害者の方が見知らぬ人であっても防犯カメラの普及等で逃げおおせるのは至難の業であり、ビクビクしながらの生活は精神的に非常な負担です。自首することによって、逃げないという証明がなされ逮捕回避の材料となりますし、見知らぬ人である被害者の方との示談交渉も開始可能のです。弁護士は自首に同行します。

捜査開始後:逮捕された場合は、勾留回避の活動を行います。罪証隠滅の虞がないこと、逃亡の虞がないことを疎明します。

逮捕後1日~2日で検察官が勾留請求し、裁判官が数時間後に勾留するかどうかの決定を行います。勾留回避活動は、検察官の勾留請求後→裁判官の決定の前に行いますが、勾留が決定された場合も事後に勾留を取り消す準抗告をするという弁護活動もあります。

この間、同時並行して被害者の方との示談交渉も行います。

そして、最大の目的は、起訴回避です。そのためには、被害者の方への真摯な謝罪と誠意を示す示談が重要となってきます。

起訴後:起訴されてしまった後も、粘り強く、被害者の方との示談交渉を行い、執行猶予判決獲得を目指します。

同時に、保釈を目指します。保釈は、起訴後一定の金員を裁判所に預けることを担保に罪証隠滅の虞、逃亡の虞がなければ身柄解放される制度です。

 

<犯行について身に覚えがない場合>

捜査段階で、逮捕された場合、頻繁な接見により何が問題かを見極め、検察官に意見を出したりし、不起訴を目指したりします。例えば、暴行等の強制性がなく交際中の男女間のもつれにすぎないといった如くです。

公判段階では、検察官提出証拠を吟味して矛盾を突くなどして徹底的に抗戦します。証人尋問での証人の信用性にも焦点を当てます。


④ 特徴

発覚すると逮捕される可能性が高まりますが、比較的、勾留回避の可能性も見受けられるのが特徴です。

強制わいせつ罪は、法改正により平成29年7月13日以降、親告罪ではなくなり、起訴前に告訴を取り下げるという示談を結べば必ず不起訴になるということではなくなりました。

ただし、親告罪ではなくなったといっても必ず起訴されるわけではなく、示談を結べば検察官の裁量による起訴猶予の可能性はあり、示談の有効性に変わりはありません。

※親告罪:被害者等の告訴がなければ起訴できない犯罪。ex器物損壊罪

 

⑤ 解決事例

A事例:被疑者飲酒酩酊後、通行人3名(abc)を連続で強制わいせつし、現行犯逮捕後勾留。→弁護士が被害者aさんと示談約束も1回目aさん現れず。その後2度面談しaさんと示談成立。→bさん事例で再逮捕勾留。→弁護士がbさんと二度面談後示談成立。→弁護士が検察庁へ在宅の意見具申、被疑者釈放、cさん事例は在宅捜査。→弁護士がcさんの親族と3度面談後示談成立。→全ての案件で不起訴。

B事例:路上で強制わいせつ、現行犯逮捕。→弁護士が勾留回避の意見書を裁判所に提出。→勾留請求却下で身柄解放、以後在宅捜査。→弁護士が被害者の方と2度面談後示談成立。→不起訴。

C事例:路上で強制わいせつ、現行犯逮捕。→弁護士が勾留決定に対して準抗告。→勾留取消しで身柄解放、以後在宅捜査。→弁護士が被害者の方と1回面談示談成立。→不起訴(職場には逮捕事実を就業規則に従って報告するも、解雇・降格回避)。

D事例:インストラクターが指導中女性二人の陰部を触り、強制わいせつ致傷で逮捕勾留。→示談交渉申し出するも女性二人とも面談そのものを拒否。→弁護士が検察と交渉し負傷が軽微であることを強調。→強制わいせつ(罪名落ち)で起訴。→保釈。→公判で検察は実刑求刑。弁護士は示談は成立しなかったが被告人が廃業した実績等を示談相当と強調。→執行猶予判決。

E事例:路上でaさんの下半身を触り、防犯カメラから発覚して令状逮捕され勾留された。弁護士がaさんとの2回目の示談交渉の前日に、別のbさんに対する強制わいせつで再逮捕された。再逮捕の翌日aさんと示談が成立し、再勾留請求に関して裁判所に再勾留却下の意見書を提出すると再勾留は却下され、被疑者は身柄解放された。数日後bさんとも示談が成立し、全ての案件で不起訴となった。

 

⑥ 法規

(強制わいせつ)

刑法百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつ行為をした者も、同様とする。

(準強制わいせつ)

刑法百七十八条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

(監護者わいせつ)

刑法百七十九条 十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

 

親告罪規定の第百八十条が削除されました。

 

 

 

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