贈収賄罪
① 定義
収賄罪は公務員等が職務に関連して金品をもらったり、もらう約束等をすることであり、公務員の職務の公正さとこれに対する社会一般の信頼を損なう犯罪です。
贈賄罪は、公務員に金品等を渡す側の犯罪です。
② 法定刑
●単純収賄罪:5年以下の拘禁刑
●受託収賄罪:7年以下の拘禁刑
●事前収賄罪:5年以下の拘禁刑
●第三者供賄罪:5年以下の拘禁刑
●加重収賄罪:1年~20年の拘禁刑
●事後収賄罪:5年以下の拘禁刑
●あっせん収賄罪:5年以下の拘禁刑
●贈賄罪:3年以下の拘禁刑又は250万円以下の罰金
③ 弁護方針
職を辞する、刑事贖罪寄付をする等の情状立証活動をします。
職務関連性等を争う無罪主張も可能です。
④ 特徴
有罪が確定するともらった賄賂をはき出さなければならない規定があります(没収・追徴)。
賄賂とは、有形無形を問わず人の需要・欲望を満たすに足りる一切の利益をいい、金銭に限らず、特殊な例では異性間の情交も該当可能性があります。
⑤ 解決事例
公務員が単純収賄で起訴された。被告人及び弁護団会議では罪を認めて執行猶予判決を目標とした。→罪を認めて反省心を示しつつ、単純収賄なので、国民の信頼は失ったが、不正を行ったわけではないという答弁により被告人のプライドを保った。→執行猶予判決
⑥ 法規
(収賄、受託収賄)
刑法第百九十七条 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の拘禁刑に処する。
(事前収賄)
2 公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、公務員となった場合において、五年以下の拘禁刑に処する。
(第三者供賄)
刑法第百九十七条の二 公務員が、その職務に関し、請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑の処する。
(加重収賄)
刑法第百九十七条の三 公務員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期拘禁刑に処する。
2 公務員が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
(事後収賄)
3 公務員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑に処する。
(あっせん収賄)
刑法第百九十七条の四 公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるように、又は相当の行為をさせないようにあっせんをすること又はしたことの報酬として、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑に処する。
(没収及び追徴)
刑法第百九十七条の五 犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
(贈賄)
刑法百九十八条 第百九十七条から第百九十七条の四までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の拘禁刑又は二百五十万円以下の罰金に処する。