恩恵の享受、権利化せず

2021/06/10

親切に「してあげたこと」が、次回も「しなければならないこと」と要求されることがある。

例えば、お店側がスーツを買った客の裾上げにつき本来別料金なのに、今回は特別に無料サービスしたとしよう。数ヶ月後にお店側が再度スーツを買った客に裾上げの別料金を請求したところ「前は無料だったから今回も無料にせよ」と要求されるような場合である。

法的には明らかに客の不当要求である。

かく言う筆者も「不当要求」をしたことがある。

飛行機内に荷物を持ち込もうとしたら、持ち込み不可で貨物室へと案内されたことがある。そのときの筆者の抗弁が「前に同じ荷物で持ち込めたのにどうして今回はだめなのか」だった。当該荷物は客観的に持ち込み規格オーバーであった。

前回が見逃されただけであり、今回持ち込める論理にはなっていない。そのときの口の尖りが今となっては恥ずかしい。

恩恵の享受は感謝すべき「だけ」であり、それ以上のものではない。

恩恵の享受は権利化しないのである。

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